貯めるより難しい、使い切る技術

先日、スーパーで250円のスイーツを買うのを我慢してしまいました。

たまに200円で売られる時だってあるしなぁ・・・

こんな理由で…です。「たった50円をケチるの?!」って声が聞こえてきそうです(笑)

FIREして2年。お金の不安はほぼなくなりました。でも「使うこと」への心理的なブレーキは、想像していた以上に根強く残っているようです。

「貯める」「増やす」「守る」。資産運用の情報は世の中に溢れています。それらはシンプルに前向きな気持ちでできるので実践しやすいと思います。ところが「使いましょう(資産を減らしましょう)」と声高らかに訴えてくる情報はあまりありません。「使う」という行為はどうしてもネガティブなイメージと結びついてしまうからだと思います。

50歳でFIREした私が今、一番難しいと感じているのは、実はその「使い切ること」です。

第1章:なぜ「使うこと」は難しいのか

スイーツの話、我ながら「どうしたものか・・・」と思いつつ、思い当たる理由が2つあります。

1つは、会社員時代にお金を使う暇がなかったこと。忙しく働いていると、旅行の計画を立てる時間も、欲しいものをじっくり探す余裕もない。時々ストレス発散で散財することはありましたが、結果的にお金は貯まっていった感じです。「貯めよう」と意識したというより、「使えなかった」というのが正直なところです。

もう1つは、FIREを決意してからマネーリテラシーを高めるために勉強したこと。皮肉なことに、知識が増えたことで倹約指向が強くなったようです。「この支出は本当に必要か」という思考が自然と働くようになったんです。

そしてFIREして時間ができた今、「使うこと」の難しさをさらに実感しています。頭では「使っていい」とわかっています。シミュレーションでも今以上に使ったとしても85歳時点で2,000万円以上残る計算です。それでも、いざ買い物かごに入れる前に「本当に買ってしまっていいのか」という気持ちがふと出てきてしまうんです。

ただ、よく考えると「使いすぎること」より「使わなさすぎること」の方がずっと怖いと気づきました。お金を使いたい時に、そのタイミングを逃してしまうと、後悔しか残らないからです。

健康で、気力があって、一緒に楽しめる人がいる。その条件が揃っている時間は、思っているより短いかもしれません。


第2章:Die With Zeroという考え方


「使うこと」について考えていたとき、定番過ぎる本ともいえる、ビル・パーキンスの『Die With Zero』を手にしました。

タイトルの「ゼロで死ね」・・・少し過激に聞こえますが、内容は至ってシンプルです。「お金は使うために稼ぐものであり、死ぬときに資産が残っているのは、使えたはずの時間とお金を無駄にしたということだ」という考え方です。

特に共感したのが「記憶の配当」という概念です。お金を使った体験は記憶として残り、その記憶は何度でも思い返すことができる。つまり良い体験にお金を使うことは、長期にわたって「配当」を生みだし続けるという考え方です。

寿命がいつ来るかはわからないので、いずれにしてもゼロにするのは無理ゲーです(笑)そこで我が家のルール「85歳時点で2,000万円は残す」という安心設計が私の考えた落とし所です。「使い切る」というより「元気なうちに使うべきことには使う」というスタンスです。

Die With Zeroの考え方は、そのための背中を押してくれる一冊でした。

第3章:我が家の「使い切る」設計


「元気なうちに使うべきことには使う」と決めたはいいものの、それをどうやって実践するかも重要です。

そこで、我が家ではバケットリストを作りました。「死ぬまでにやりたいことリスト」を夫婦で作って、それを一つずつ消し込んでいく。やりたいことを先に決めてしまえば、お金の使い道に迷わなくて済みます。

日常の250円のスイーツは我慢してしまう私ですが、バケットリストに入っていることには迷わず使えます。2025年のビジネスクラスを使ったイギリス旅行もその一つです。その年の支出は約700万円。年間800万円という設計の範囲内に収まりました。

ポイントは「使う優先順位を先に決める」ことだと思っています。

何にでも使うわけではない。でも決めたことには使う。このメリハリが、心理的なブレーキを外すコツだと信じて実践しているところです。日常の節約と、人生の体験への投資は、パッと見は矛盾しているようですが、うまく両立するのがよりよいライフプランにつながると思っています。

まとめ


「貯める」「増やす」「守る」は、ゴールではありません。お金は最終的には「使う」ためにあります。

でも長年の習慣と、身についた知識が、「使うこと」にブレーキをかけてしまう。これはFIREした人間が直面する、意外と知られていない落とし穴だと思っています。

我が家の対策はシンプルです。バケットリストで「やりたいこと」を先に決める。日常は節約しながら、人生の経験には迷わず使う。そのメリハリが、「使い切る技術」の本質じゃないかと思っています。

ところで、「85歳をゴールに設計する」と書きましたが、一つ気になっていることがあります。そもそも、85歳というゴールは妥当なのか、ということです。

近年、医療とAIの進化によって、人間の平均寿命が大きく延びる可能性が現実味を帯びてきています。もしそうなったとき、今の設計は十分なのか。次の記事では、そのあたりを考えてみたいと思います。

具体的な支出設計を知りたい方はこちら