
年金って、早く貰ったほうがいいの?それだと損するの?
「何歳から年金をもらうのが得か」—全員にあてはまる正解はありません。
ネット界隈では「損益分岐点は76歳」「長生きするなら繰り下げが有利」といった情報であふれています。でも、それで自分の答えが出せそうかというと、なんかピンとこない。そんな感覚、ありませんか。
私はこんな答えにしています。

60歳以降、総資産が1億円を下回ったら繰り上げ受給しよう!
損益分岐点よりも先に、独自のトリガーを設定しました。50歳でFIREして2年、この結論に至った理由をそのまま書きます。
繰り上げ受給とは?減額の仕組みをざっくり理解する
年金の繰り上げ受給とは、本来65歳から受け取る公的年金を、60〜64歳の間に前倒しで受け取る制度です。
ただし、早く受け取る分だけ年金額は減ります。減額率は1ヶ月繰り上げるごとに0.4%。60歳から受け取ると、最大で24%の減額になります。
我が家の場合、夫婦合わせて65歳受給なら年間約310万円の見込みです。これを60歳に繰り上げると、
年間約236万円。約74万円の減額です。
この減額は一生続きます。あとから「やっぱり65歳からにしたい」と変更もできません。「年間74万減」・・・数字で見るとなかなかのインパクトですよね。
ただ、減額されても、使い方次第で十分に「アリ」な選択肢になります。それが私の結論です。
「何歳から受給するのが得?」損益分岐点を計算してみる
繰り上げ受給の損得を考えるうえで、必ず出てくるのが「損益分岐点」という考え方です。
簡単に言うと、「何歳まで生きれば、早くもらい始めた方が得になるか」という計算です。
一般的には76〜77歳前後が損益分岐点と言われています。つまり、76歳より前に亡くなるなら繰り上げが有利、それ以降まで生きるなら65歳受給(または繰り下げ)が有利、という計算になります。
我が家の場合は・・・
- 65歳受給:年間310万円
- 60歳繰り上げ:年間約236万円(24%減)
- 損益分岐点:76歳11ヶ月
と数字は出てきます。でも、これを出したところで「じゃあ自分は何歳まで生きるんだろう」という話になってしまい。もはや”神のみぞ知る”です(笑)
結局、損益分岐点の計算は「長生きするほど繰り下げが有利」という当たり前の事実を確認するだけで、自分がいつ受給するかの答えは出してくれません。
そこで私は「いつが得か」ではなく、「どうなったら受給するか」を先に決めてしまおう、と考えました。
私が繰り上げ受給を検討するのは「こんなとき」と決めました
損益分岐点の計算を眺めながら、私はふと思いました。

そもそも、繰り上げ受給が必要になる状況って、いつなんだろう?
前提として、我が家の基本設計は65歳から年金を受給します。繰り上げ受給は、あくまで例外的な状況に対応するためのプランBです。具体的には、60〜64歳の間に総資産が1億円を下回ったときにのみ検討します。
なぜ1億円か。年間支出800万円の約12〜13年分です。この水準を下回ったとき、「設計より早く資産が減っている」というサインだと位置づけました。
では、そのトリガーは現実的に発動するのか
ブログでも紹介しているシミュレーターでも試算しましたが、株式の利回りを0%に設定した超悲観シナリオでも、65歳時点の総資産は1億円を超える結果です。
株式がまったく増えない前提でこの結果です。つまり60〜64歳の間に1億円を下回るとしたら、株式の長期低迷に加えて、さらに想定外の支出が重なるような、かなりレアなシナリオのときだけです。
それでも、あらかじめ決めておくのには理由があります。
迷わないために、今決めておく
資産が減り始めたとき、人は焦ります。「年金を早くもらった方がいいか」「もう少し待った方がいいか」、そんなとき冷静に判断できる自信が、私にはありません(笑)
だから、冷静に考えられる今、トリガーを決めました。このブログで一貫してお伝えしている「感情に左右されない仕組みづくり」そのものです。
もう一つ、正直に言うと。
私は「使うことの難しさ」を身をもって知っています。スーパーで250円のスイーツを我慢してしまうくらい、日常の支出にブレーキがかかるケチです(笑)
だからこそ、65歳時点で総資産1億円を下回るくらいの勢いで使っていくのが我が家のルール5でもあります。ちょっとしたゲーム感覚でお金を使っていかないと、使わずに終わってしまいそうで・・・。
ある意味、繰り上げ受給のトリガーは「使いすぎた場合の安全装置」でもあるわけです。
繰り上げ受給が「取り崩しの調整弁」になる理由
トリガーが発動するとき、つまり”60〜64歳の間に総資産が1億円を下回るとき”、資産の減り方が設計よりも速い状態です。※ある意味、うまくお金を使えている、とも言えますが(笑)
繰り上げ受給を発動すると、年間約236万円の年金収入が入ってくる。
それだけで年間の取り崩し額を236万円減らせる。生活費を削らなくても、取り崩しペースが自動的に落ちる仕組みです。
債券の設計思想とまったく同じ発想
これ、我が家が債券40%を持っている理由とまったく同じ発想です。相場がどう動いても、債券の利息は淡々と入ってくる。その安定したキャッシュフローが取り崩しペースを安定させてくれる。
年金の繰り上げ受給も同じ。「毎月一定額が入ってくる仕組み」を前倒しで確保することで、取り崩しをコントロールする。
自作年金型FIREの設計思想と地続きのお話です。正直、この記事を書きながら気づいたことで、最初から狙っていたわけではありませんが(笑)
繰り上げ受給はあくまで調整の一手
トリガーが発動しているということは、それまでの支出ペースが速すぎた結果でもあります。年金収入が入ってくる分、年金の繰り上げ受給後は支出も少し抑えていく必要があります。
収入を増やしながら支出も見直す。この2つのセットで取り崩しペースを落としていくイメージです。
長生きリスクとのトレードオフを正直に考える
繰り上げ受給には、避けられないデメリットがあります。長生きするほど、受け取る総額が少なくなることです。
以前「寿命120歳時代」の記事でも触れた「ゲノム解析×AIの進歩によって長寿命化が現実になるかもしれない時代」に向けて、24%減額の繰り上げ受給はリスクになるのでは。正直な話、その答えはまだ出ていません。
ただ、私なりにこんな未来予想図を持っていたりします。
AIの進歩が今のペースで続くなら、10年後・20年後には人間の代わりにAIが様々な仕事を担うようになる。そうなれば人件費がかからない分、モノやサービスの値段は下がっていくんじゃないか。長寿が当たり前になっている頃には、今より少ない資産でも暮らせる社会になっているんじゃないか。
あまりにSFみたいな話ですが、AIの進歩を肌で感じている今、まったくの絵空事とも思えなかったりします(笑)

そのAIが描く未来予想図(NanoBanana作)
10年先が想像できない時代に、完璧な答えを出そうとする方が無理な話。ある程度の蓄えを持ちながら、時代の変化に合わせて柔軟に考えていく——今はそのスタンスで十分だと思っています。
自分の数字でシミュレーションしてみる
繰り上げ受給のトリガーが「自分にとって現実的かどうか」は、実際に数字を入れてみるのが一番です。
このブログのシミュレーターでは、年間支出・インカム収入・年金受給額を入力するだけで、資産がどのペースで減っていくかを確認できます。
「超悲観シナリオでも65歳時点でいくら残るか」——ぜひ自分の数字で試してみてください。
まとめ

迷って答えが出ないなら、ルール(トリガー)を決める。それだけで、将来の自分が迷わずに済みます!
繰り上げ受給に正解はありません。でも「どうなったら受給するか」を今決めておくことは誰にでもできます。
相場がどう動いても、AIが世界をどう変えても、自分のルールを持っていれば慌てない——それがこのブログで一貫してお伝えしたいことです。
我が家の支出ルール全体を知りたい方はこちら
自作年金型FIREについて知りたい方はこちら




