
FIREするには、いくら必要だろう?
調べてみると「最低1億円」「いや2億円ないと・・・」という数字が並びます。ただ、これらのほとんどは30~40代向けの数字です。
30代でFIREするということは、年金受給までの30年以上を自力で乗り切る必要があります。そうなるとそれなりのお金がかかるのも当然です。
でも、50代だと少し違ってきます。
年金受給まで10〜15年。その期間さえ乗り切れれば、あとは年金という安定収入が加わり、比較的緩やかな取り崩しで済みます。「40年近くフルで取り崩す」計算とは、そもそも前提が違うんです。
さらに債券の利息や高配当株の配当金といったインカム収入を組み合わせると、必要な取り崩し額はもっと圧縮できます。
この記事では、50歳でFIREした私が、夫婦2人・年間支出目標800万円という条件で「なぜFIREを決断できたのか」を、実際の数字と計算根拠とともに公開します。

「自分にはいくら必要か」を考えるヒントにしてください。
第1章:「4%ルール」は50代に通用するのか
FIREの必要資産を語るとき、必ず出てくるのが「4%ルール」です。
年間支出の25倍の資産があれば、毎年4%ずつ取り崩しても資産が尽きないという考え方です。年間支出が400万円なら1億円、600万円なら1億5,000万円という計算になります。
シンプルでわかりやすい。ただ、50代でFIREする場合、この計算だけでは足りないと私は思っています。理由は3つあります。
1.運用期間が長すぎる
4%ルールはもともと「30年間」を想定した計算です。現在、50歳の日本人の平均余命(※)は「男性:32.6年、女性:38.2歳」なので、平均でも30年以上相場の荒波にさらされる期間が増えることになります。※令和5年の厚生労働省の資料より

2.年金という変数がある
60〜65歳以降に年金収入が加わります。「取り崩しペースが途中で変わる」という、4%ルールには織り込まれていない要素があります。
3.支出は一定ではない
生活水準は人それぞれです。年間300万円で暮らす人もいれば800万円使う人もいます。そうなると必要な資産額はまったく違います。また元気なうちはお金を使い、年を重ねると支出が落ち着く。「毎年一定額を取り崩す」という前提自体、実態とズレています。
つまり4%ルールは「目安」として使えますが、50代のFIREにそのまま当てはめると、必要以上に多い金額が出たり、逆に楽観的すぎる計算になったりします。
4.では、実際にいくら必要なのか
4%ルールをそのまま当てはめた場合と、50代ならではの条件(年金・インカム収入)を加味した場合を比較してみます。
<前提条件>
- FIRE年齢:50歳・取り崩し期間:35年(85歳ゴール)
- 年金:65歳から夫婦合計年間300万円
- インカム収入:債券利息や高配当株配当金
- 85歳時点で2,000万円を残す設計
- 株式利回り:0%(超保守的に計算)
| 年間生活費 | 4%ルール | 年金のみ | 年金+ インカム年200万 |
|---|---|---|---|
| 400万円 | 約1億2,000万円 | 約7,500万円 | 約5,500万円 |
| 600万円 | 約1億7,000万円 | 約1億円 | 約8,000万円 |
| 800万円 | 約2億2,000万円 | 約1億3,500万円 | 約1億1,500万円 |
※大きな資産が確保できないとインカム収入は見込めないため、その場合は年金のみの列を参考にするのをおすすめします。

「それでも普通に高額じゃないか・・・」と思いますよね。
正直、その通りだとは思います。絶対的な金額はどの数字も決して小さくはありません。
ただ、4%ルールのケースと比べると年金やインカム収入があれば、必要な資産額は4,000万~1億円近く違ってきます。
「50代FIREは有利」というのは「資産が少なくて済む」というよりも「現実的な射程圏内に入ってくる」という意味です。30~40代向けの数字を見て諦めムードだった方は、改めて自分の数字で計算し直してみると思いがけない気づきが得られるかもしれません。
「自分の場合はどうなるか」はシミュレーターで確認できます。
第2章:我が家が出した答えと根拠
では実際に、我が家にあてはめて考えてみます。
前提条件は以下の4つです。
- 年間支出:800万円(旅行や予備費に加え、インフレも考慮して余裕を持たせた設定です。ちなみにFIRE後、ビジネスクラスでイギリスへ1週間旅行した年でも実績は約700万円。この設定に間違いはなかったようです)
- FIREする年齢:50歳
- ゴール:85歳時点で2,000万円を残す
- 株式の利回り:0%(不確定要素である株式の利回りはアテにしません)
この条件で単純計算すると、800万円×35年=2億8,000万円。さらにゴールに定めた2,000万円を足すと3億円必要という数字が出ます。
「そんなに必要なの?」と思うかもしれません。ただここにインカム収入という要素が加わります。
我が家では債券の利息と高配当株の配当金から、現在年間約300万円のインカム収入が入ってきます。年金受給にあわせて債券が満期を迎えるため配当金のみに移行しますが、別途年金収入が加わる設計です。
つまり、年金受給前のインカム収入は債券の利息収入+株式の配当金、年金受給後は配当金のみとなりますが、その代わりに年金収入が加わるため取り崩しペースは抑えられます。
単純な計算では正確に出せないため、実際の試算はシミュレーターで確認しました。その結果、我が家の場合は1億円台後半あれば85歳時点に2,000万円を残せるという結論に至りました。
「自分の場合はどうなるか」は、シミュレーターで確認してみてください。なお、このシミュレーターはアセットアロケーション運用(現金・債券・株式の配分を決めて運用する方法)を前提にしています。まだ取り組んでいない方は、まずこちらの記事をご覧ください。
シミュレーターで使うサンプルCSVもダウンロードできます。ダウンロードはこちらから
なお、サンプルCSVは我が家の基本方針をもとにした参考値です。実際の数字とは若干異なりますが、インカム収入が公的年金受給にあわせて変化する構造はそのまま反映しています。ご自身の見込み収入に書き換えてお使いください。シミュレーターはこちらの記事を利用ください。
第3章:「いくら必要か」より大事なこと
ここまで我が家の数字を公開してきましたが、「いくら必要か」の答えは人によってまったく違います。
年間支出が400万円の人と800万円の人では、必要な資産額は倍近く変わります。インカム収入がある人とない人でも、大きく変わります。
だからこそ、金額より先に決めるべきことがあります。
- 年間いくら使いたいのか
- 何歳でFIREしたいのか
- 何歳をゴールにするのか
- インカム収入をどの程度作れるか
この4つが決まれば、必要な資産額は自ずと見えてきます。「1億円必要」「2億円必要」という他人の答えを追いかけるより、自分の条件で計算した方が、ずっとリアルで安心感のある答えが出ると思います。
49歳の私が資産を書き出して計算してみたら「無謀にも7ヶ月でFIRE」という荒技をやってしまったんですから(笑)
まとめ
「FIREにいくら必要か」という問いに、万人共通の正解は存在しません。
ただ、自分の条件を当てはめれば答えは出せると考えます。年間支出・FIREする年齢・ゴール・インカム収入。この4つを決めて計算するだけで、「漠然とした金額」から「明確な金額」に変わります。
我が家の計算結果は、1億円台後半でした。将来を予測することや投資スキルなどは必要ありません。必要なのは「自分の数字で計算すること」だけです。
まず自分の条件を書き出してみてください。根拠のある自分だけの答えが見えてきます。
必要な資産額が見えたら、次は『その資産をどう運用するか』です。我が家の運用ルールはこちらで公開しています。






